こちらのブログへは、『ボビンレース』のワード検索でお越しの方がほとんどのご様子なのにもかかわらず、
風景や動物ちゃんたちのお写真ばかりでごめんなさい…
鹿ちゃん続きだったから、というわけではありませんが(笑)、今日は1枚、レースの写真を。
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This 'Paris' lace is designed for my love of a superb work of Ms. Irma Neyrinck-Van Herck, just for my study, not for commercial purposes.
これは、Parisという種類に分類されるボビンレースです。
大きさは、ハガキよりちょっと小さいくらい。
フリーソフトが使いこなせてなくて、とんでもないところにクレジット入っちゃってごめんなさい=
なおしかた、わかりません…
ボビンレースをいちから学び始めた頃、ほんの初心者だった頃に、昔ながらのデザインを伝承していらっしゃった方による(ベルギーの方で故人)オーバルのテーブルマットの縁取りレースのようなパターンが出版されているものを見かけて、
そのパターンの中にいてひとめ惚れした鹿ちゃん♡を、自分でもデザインできるようになりたくて製図&織ったものです。
糸は昔はリネン糸がメインで織られていましたが、だんだんと綿糸が使われるようになり、今は専らエジプト綿70番と輪郭線用の太糸(専ら刺繍糸)を使って織ります。
わたしの周りでは『パリ地』と呼ばれているParisレースに独特の、あ、そうそう、point de Parisってフランス語では呼ばれているのですけれど、英語ではParis groundですネ、そう呼ばれるグランド、つまり地織の中に、太糸で輪郭をふちどった動物だのお花だの幾何学模様だのを配置しているのが特徴です。
パリ地は、バンシュはもちろんシャンティーのアンティークものにも使われているものがありますが、それらはまた別の分類になります
歴史的な経緯は専門書などに記述がありますが、メインの生産地でもないのになんでParis lace と、地名でパリがついているのかについては、よ〜わかりませんな〜ってところなので、ここでは省きます。
とりあえず、パリ地にギンプで囲まれたモチーフが配置されているレースは、ベルギーがメインの生産地であるタイプのものについても、分類ではパリ・レースになるということのようです。
以前、銀座の和光でアンティークレースの展覧会があったときに、Parisレースの各種アニマルモチーフが織り込まれた巨大なベッドカバーを見ましたが(糸は、ep70っていうより、フリージア(リネン)の80番くらいで、ギンプはタコ糸くらいの太い丈夫そうなものだったような…ガラス越しだから微妙ですが)、
太糸でモチーフの輪郭を囲む手法なので、バンシュだと糸の動きを考えると眩暈がしてしまうようなアニマル柄とか花柄なんかが、けっこう楽々と表現できちゃうのですよね。
だから、師匠に習うようになって、あまりに製図にてこずるもので(…)、Parisは製図するより柄だけ配置して適当に織るのが手っ取り早いのよね~って言われたときは、白目をむきそうになったのですが(苦笑)、昔の熟練した織り手さんたちにとっては、白糸で埋めていく塗り絵感覚だったのかもしれませんね(?)ワタシには無理ですが…
ということで、もちろん、上の写真の鹿ちゃんのは、糸の動きをオリジナルのフォーマット上に改めて一からしっかり製図しました。
が、そもそもパリという種類のレースを織ったことすら無かったので、当然、製図のルールも知らないわけで、無謀もいいところ…
ほんとに師匠には頭が上がりません…
製図もたぶん、レッスンで10回はかかったし、その都度、師匠には手直し(というか、その都度ほとんど全面書き直しに近かったです…)していただいて、
ちょっと心が折れかけましたけれど、鹿ちゃんのモチーフは何年も憧れていたものだったので、ほとんど勢いで無我夢中(師匠にはほんとにいい迷惑…あ=冷や汗)で、仕上げました。
で、バンシュとパリを当時は同時進行で習っていたわけですが、糸の動きの約束事や微妙な動かし具合とか角度とか、そこらへんの違いを消化するのは私の頭にはハードル高すぎて、
しばらく、パリの糸の動きでバンシュを書いちゃったり(…)
ということで、その後、Parisレースの習作はいくつか製図して試作したりもしましたが、
太糸=ギンプを使わないバンシュの方が、織るときなんとなく楽なので(個人的な好みです…)、今はバンシュに集中しています。
でも、お絵かきが得意な人だったら、Parisレースを製図するのは、とても楽しいことだと思います♪
アンティーク写しの柄などをレースに織りあげると、やっぱり、宝物感がたまりません~
上の鹿ちゃんのは、お手製マットでちょっと遊んでフレーミングしてみました。
なんとなく、そのまま、紫外線にあてないようにと箱に入れてしまってあって、たま~にひっぱりだして眺めては、ひとりで喜んでマス(笑)
師匠に習い始めた頃の思い出のつまった、ちょっとこそばゆい宝物です。
さてさて、ずいぶん長話になっちゃいました。
このへんで☆
<追記>
アップしてから、あ~そういえば微妙かも?と念のため。
モチーフ自体は鹿も草花柄もそれぞれ、Parisにはよくあるモチーフですが、アンティーク写しで出版されていたIrma Neyrinck-Van Herckさんのオーバルの作品の柄がとても素敵なので、その一部のフォルムを活かして1枚の絵のように構成し、織り方をいちから製図しました。
アンティークのレースを自力でパターン起こしするのは著作権が切れていますから問題ないのですが、ベルギーでアンティーク写しのもののパターン図が出版されたのが何十年か前とはいえ出版された方の著作権が完全に切れるタイミングではありませんし、伝統柄のデザインではあるものの微妙なので、ここに明記しておきます。
別に商業目的で製図してものではない習作ですし、最近、デザインのパクり問題がよく騒ぎになりますので念のため。
イメージとしては、日本の古代裂を復元したものが素晴らしいと思って、古代裂の中の鹿ちゃんとお気に入りのお花柄のフォルムを参考にオリジナルのフォーマットに配置して、個人的な楽しみとお勉強のために織ってみた、っていうかんじです。